3秒サマリー CAISOのEDAMは2026年5月1日、CAISOとPacifiCorpの参加で始まった。翌日の発電、需要、送電の制約を広い地域で見て、当日の調整に入る前に需給を整えやすくする市場だ。日本では、需給調整市場と広域運用をどうつなぐかを考える材料になる。
要点
- 始まったこと:CAISOとPacifiCorpが2026年5月1日にExtended Day-Ahead Marketを開始した。
- 市場のねらい:翌日市場で発電、需要、送電制約を広域で扱い、再エネを取り込みやすくする。
- 見るべき変化:当日のリアルタイム調整だけでなく、前日の計画段階で調整余地を作る発想が強まる。
- 日本への示唆:需給調整市場、卸市場、広域需給運用を別々に見ない設計が必要になる。
- 残る論点:連系線の使い方、予測誤差の扱い、精算ルール、参加者間の責任分担をどう決めるか。
前日に整える市場
CAISOのEDAMは、Extended Day-Ahead Marketの略だ。翌日の電気の計画を作る段階で、発電、需要、送電線の制約を広い範囲で計算する。
出典では、EDAMを西部広域市場の一部として説明している。2026年5月1日には、CAISOとPacifiCorpがこの市場を開始した。リアルタイム市場だけでなく、前日の計画にも広域の考え方を入れる動きだ。
再エネが増えると、天気の変化で発電量がずれやすい。需要の見通しも外れることがある。こうしたずれを当日だけで直そうとすると、運用は重くなる。EDAMは、その前の段階で使える電源や送電の余地を見ておく仕組みといえる。
日本で重なる問い
日本にも需給調整市場がある。これは、周波数や需給バランスを保つための調整力を取引する市場だ。日本では地域ごとの系統、地域間連系線、再エネの立地差が大きな論点になる。
EDAMをそのまま日本に移せるわけではない。制度も系統の形も違う。ただし、前日の計画と当日の調整をどうつなぐか、連系線の制約を市場でどう扱うか、予測誤差を誰がどこまで負うかという問いは共通する。
大事なのは、「調整力が足りない時に買う」だけで考えないことだ。前日の段階で、どの地域の余力をどの時間帯に使えるのか。どの送電制約が効くのか。こうした条件を分けて見る必要がある。
海外事例Before/施策/After
Before:米国西部では、地域ごとに需給を管理するバランシングエリアがある。Western Energy Imbalance Marketのようなリアルタイム市場の連携は進んでいたが、翌日市場で広域に計画を合わせる余地があった。
施策:CAISOはEDAMを用意し、翌日市場で発電、需要、送電制約を広域で扱う設計を進めた。公式情報では、再エネ統合や需給調整の効率化に関わる市場として位置づけられている。
After:2026年5月1日、CAISOとPacifiCorpがEDAMを開始した。これにより、前日の市場計画とリアルタイム運用をつなぐ広域市場が実運用に入った。
[表:米国事例から、日本で分けて考えること]
| 論点 | 米国で起きたこと | 日本で置き換えて見るなら |
|---|---|---|
| 立地 | 米国西部の広い地域を対象に、翌日市場で資源を見ようとしている。 | 再エネが多い地域と需要地の距離を分けて見る。 |
| 系統 | 送電制約を前日市場の計算に入れる考え方が中心にある。 | 地域間連系線の空き、混雑、運用上の制約を分けて見る。 |
| 電源 | 再エネを広域市場で扱いやすくすることがねらいに含まれる。 | 太陽光、風力、火力、蓄電池を同じ時間軸でどう並べるかを見る。 |
| 時間帯 | 当日の調整だけでなく、翌日の計画段階を重視している。 | 前日、当日、リアルタイムで役割を分けて見る。 |
| 手続き | CAISOと参加主体の市場ルールに基づいて開始した。 | 市場参加、情報提出、精算、責任分担の手順を分けて見る。 |
| 契約条件 | 参加者間の市場精算やルール設計が重要になる。 | 予測誤差、混雑費用、調整力の費用を契約でどう扱うかを見る。 |
日本で考える5つの論点
- 前日計画と調整市場:前日の発電・需要計画と、需給調整市場で買う調整力をどうつなぐか。
- 連系線の扱い:地域間連系線の空き容量や混雑を、市場の計算にどこまで入れるか。
- 予測誤差の責任:再エネや需要の見通しが外れた時、費用と責任をどう分けるか。
- 情報の出し方:気象、需要、送電制約、調整力の情報を、誰がどの時点で出すか。
- 参加条件と精算:発電、小売、蓄電池などの参加条件と、精算のルールをどうそろえるか。
結論: 翌日市場は当日運用の前に効く
CAISO EDAMの意味は、調整を当日だけに寄せない点にある。翌日の計画段階で、広い地域の電源、需要、送電制約を見ておく。そこに、再エネが増える時代の市場設計のヒントがある。
日本で見るべき点は、EDAMをまねることではない。前日計画、需給調整市場、連系線運用、精算ルールをどこでつなぐかだ。制度を考える時は、地域、時間帯、電源、手続き、契約条件を分けて見る必要がある。
用語ミニ辞典
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| EDAM | Extended Day-Ahead Market。翌日市場を広域で扱うCAISOの市場。 |
| 前日市場 | 翌日の発電や需要の計画を、前日に取引・調整する市場。 |
| 需給調整市場 | 周波数や需給バランスを保つための調整力を取引する市場。 |
| バランシングエリア | 電気の需給バランスを管理する区域。 |
| 連系線制約 | 地域をつなぐ送電線の容量や運用上の制約。 |
| 予測誤差 | 発電量や需要の見通しと、実際の値のずれ。 |
出典:
- Western Energy Markets「Extended Day-Ahead Market (EDAM)」
- California ISO「EDAM is live: PacifiCorp and CAISO successfully launch new market May 1」(2026-05-01)
- Western Energy Markets「Western Energy Imbalance Market」
- OCCTO「需給調整市場」
出典・参考情報
記事本文は公開情報と公式・一次情報を優先して作成しています。重要な判断の前には、必ずリンク先の最新情報を確認してください。
- Western Energy Markets Extended Day-Ahead Market (EDAM) 西部広域市場におけるEDAM公式情報。
- CAISO EDAM is live: PacifiCorp and CAISO successfully launch new market May 1 EDAMの2026年5月1日開始に関するCAISO公式発表。
- Western Energy Markets: Western Energy Imbalance Market 西部広域市場の公式概要。
- OCCTO 需給調整市場 日本の需給調整市場に関する公式情報。
参考メディア: 画像URL: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Transmission_towers_at_sunset_in_East_Texas.jpg / 作者: Matthew T Rader / ライセンス: CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0 / 取得日: 2026-05-22(既存ライセンス確認済みWikimedia画像を、広域需給市場テーマのヘッダーとして再利用)
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