3秒サマリー Viking Linkは、英国とデンマークを結ぶ最大1.4GW級の国際連系線です。発電所を増やすだけでなく、余っている地域と足りない地域をつなぐことで、再エネの使い方が変わります。日本では、地域間連系を「線の容量」だけでなく、いつ誰が使える柔軟性として見る必要があります。

要点

  • 何が起きた:英国とデンマークを結ぶViking Linkが、最大1.4GW級の高圧直流連系線として整備・運用されている。
  • なぜ重要か:風況や需要がずれる地域をつなぐと、発電所を新設しなくても需給の選択肢が増える。
  • 日本への意味:北海道、東北、九州など再エネ適地と大需要地をつなぐ地域間連系の価値を見直せる。
  • 論点:設備容量だけでなく、混雑時の運用、費用負担、便益配分、市場連携を合わせて考える必要がある。
  • タイミング:出力制御と広域需給調整が増える局面で、連系線をどう使い切るかが重要になる。

連系線は、発電所ではなく選択肢を増やす

日本では、再エネの適地と大きな需要地が離れています。北海道、東北、九州で再エネが伸びても、電気を使う場所まで送れなければ、出力制御が増えます。地域間連系線(電力エリアをまたいで電力を送る設備)は、発電所そのものではありません。それでも、余っている地域と足りない地域をつなぐことで、系統全体の選択肢を増やします。

Viking Linkの最大1.4GWという規模は、大きな発電所に近い柔軟性を「線」で持つ発想です。もちろん日本は国際連系より地域間連系が中心です。制度も地理も違います。それでも、発電所、蓄電池、需要制御だけでなく、電気を動かす道そのものを柔軟性として見る視点は参考になります。

変わったのは、連系線を市場資産として見ること

変化は、連系線を非常時の予備ではなく、日々の市場と需給運用に使う資産として扱う点にあります。国際連系線の価値は、隣国から電気を買えることだけではありません。価格差、風況差、需要の山谷をつなぎ、系統全体の運用余地を広げます。

日本で考えるなら、同じ論点は地域間連系に置き換わります。どのエリアで余り、どのエリアで足りないのか。混雑が起きた時に、誰の発電を抑え、誰が費用を負担するのか。増強した線を、容量市場、需給調整市場、出力制御の低減にどう使うのか。線を作るだけでは足りません。作った後にどう使い切るかまで設計する必要があります。

海外事例:Viking Linkで起きたこと

Before(計画・建設前):英国とデンマークは、それぞれ風力発電の拡大と需給変動への対応を抱えていました。国内設備だけでは、風の強い時間と需要の高い時間のずれを吸収しにくい場面がありました。

施策(整備段階):National GridとEnerginetは、英国LincolnshireとデンマークJutlandを結ぶViking Linkを整備しました。両社やEIBの公式情報では、全長約765km、容量1.4GW級の高圧直流連系線として説明されています。

After(運用開始後):Viking Linkは、英デンマーク間の電力融通に使われています。価値の中心は、ケーブルそのものではなく、風況・需要・市場価格が違う地域をつなぎ、運用の幅を増やすことにあります。

[表:海外事例から、日本で分けて考えること]

論点海外で起きたこと日本で置き換えて見るなら
電源の出どころ風力の多い地域と需要地を国際連系でつないだ再エネ適地、火力、蓄電池、需要制御を地域間でどう組み合わせるか
場所英国とデンマークを長距離海底ケーブルで接続した北海道・東北・九州と需要地の間で、海峡横断や地域間連系をどう考えるか
時間帯風況や需要の違いを時間ごとに融通した太陽光余剰の昼、冬夏ピーク、悪天候時にどのエリアから送れるか
手続き複数国のTSOと制度が関わったOCCTO、一般送配電事業者、国、自治体の計画をずらさないか
地域への説明大型海底ケーブルの便益と費用を説明した用地、海域、工事、景観、費用負担を地域にどう説明するか
契約の役割市場価格差と運用ルールが利用価値を決めた託送、混雑管理、費用負担、便益配分を契約・制度でどう扱うか

日本で考えるなら、まず「どの時間に詰まるか」を見る

日本で連系線を増やす議論は、容量の数字だけになりがちです。しかし実際に知りたいのは、どの時間帯に、どのエリアで、どれだけ詰まるかです。昼の太陽光余剰、夕方ピーク、冬の需要増、風が弱い日では、必要な融通の向きが変わります。

そのまま海外事例を輸入できない理由もあります。日本は国際市場と広くつながっているわけではなく、地域間連系線が中心です。島国で海峡横断もあります。用地取得や海域利用の説明にも時間がかかります。だからこそ、発電所をどこに置くか、需要がどこで増えるか、連系線がいつ使えるかを同じ地図に重ねる必要があります。

日本で考える5つの論点

  • 接続容量:エリア間の空容量、混雑時間、増強時期を、発電・需要計画と同じ表で見られるか。
  • 電源対応:再エネ、火力、蓄電池、需要応答を、地域間連系の利用可能時間と組み合わせられるか。
  • 地域合意:送電線、海底ケーブル、変換所の立地について、費用と便益を地域にどう説明するか。
  • 契約条件:混雑時の優先順位、費用負担、便益配分を、託送制度や市場ルールでどう定めるか。
  • 系統制約:増強までの期間に、ノンファーム接続、出力制御、蓄電池でどこまでつなぐか。

結論:1.4GWの線は、使い方まで設計して価値になる

Viking Linkは、日本に国際連系線を増やせという話ではありません。示しているのは、線を容量ではなく、時間ごとの柔軟性として使い切る考え方です。次は、日本で地域間連系の便益をどこまで具体的に見せられるかが焦点です。


用語ミニ辞典

用語意味
国際連系線国境を越えて電力を融通する送電設備。
地域間連系線日本の電力エリア間で電力を送るための送電設備。
HVDCHigh Voltage Direct Current。長距離・海底送電に使われる高圧直流送電。
TSOTransmission System Operator。送電系統の運用を担う主体。
混雑管理系統制約がある時に潮流や発電・需要を調整する運用。
出力制御系統制約や需給バランスのため、発電出力を一時的に抑える運用。

出典:

  • European Investment Bank「Viking Link project」
  • Energinet「Viking Link」
  • National Grid Ventures「Viking Link」

出典・参考情報

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参考メディア: 画像URL: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Electric_transmission_power_tower.jpg / 作者: Foto3821 / ライセンス: CC0 http://creativecommons.org/publicdomain/zero/1.0/deed.en / 取得日: 2026-05-21

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