3秒サマリー OCCTOは、需給調整市場の前日取引化と30分化について、2026年度当初の取引状況を公表しました。複合市場では応札量が増えた一方、三次調整力②では応札量の減少や不足頻度の上昇が続いています。すぐに新しい問題が出たというより、夏前に「不足がどこで残るか」を見るニュースです。

要点

  • OCCTOは6月9日の会合で、需給調整市場の2026年度当初の取引状況を示した。
  • 複合市場は、前日取引化と30分化の後に全国合計で応札量が増えた。
  • 三次調整力②は同じ時期に応札量が減り、不足頻度の上昇も確認された。
  • OCCTOは、抜本的な応札不足の改善には至っていないと整理している。
  • 次は、夏季の需給期と6月22日の関連会合で調整力確保の見方を確認したい。

まず、何が起きたのか

OCCTO(電力広域的運営推進機関)は、6月9日の第61回需給調整市場検討小委員会で、需給調整市場の取引状況を示しました。需給調整市場は、電気の需要と供給のずれを埋めるための「調整力」を取引する市場です。

今回の焦点は、2026年度から始まった複合市場の前日取引化と30分化です。OCCTO資料2によると、複合市場は一次から三次①までをまとめて扱う商品で、取引タイミングを週間断面から前日取引へ前倒しし、入札時間単位も3時間から30分へ変更しました。

狙いは、応札不足で募集量に届かず、価格競争が起きにくくなっていた状態を改善することです。制度変更後、複合市場では全国合計で応札量が増えました。一方で、三次調整力②では応札量が減り、応札不足の頻度も上がっています。

これは何を意味するのか

今回の資料は、「制度変更で一定の応札増は見えたが、不足の問題はまだ残る」と読むのが自然です。

OCCTO資料2では、30分化の効果試算として、複合市場の募集量は約3.6%減、応札量は約30.3%増と示されています。30分単位に細かくしたことで、発電所や蓄電池などの余力を出しやすくなった面があります。

ただし、同じ資料は2026年度当初の取引状況について、「抜本的な応札不足の改善には至らず」と整理しています。調達未達によって高単価のリソースが約定する課題も続いている、という見方です。

ここで大事なのは、制度変更の成否を1つの数字だけで判断しないことです。複合市場では応札が増えても、三次調整力②で不足が強まれば、需給運用全体ではまだ不安定さが残ります。特に夏場は需要が増え、点検計画や太陽光の出力変動も重なります。市場の流動性が足りるかどうかは、運用コストと安定供給の両方に関わります。

まだ決まっていないこと

現時点では、三次調整力②の応札減が一時的な動きなのか、構造的な不足なのかは決まっていません。

OCCTO資料2は、複合市場と三次調整力②の間で明確な応札の偏りは確認できない、としています。つまり、複合市場に応札が寄ったから三次調整力②が減った、と単純には言えません。

また、同資料は「現時点で新たな問題が生じているものではない」とも整理しています。これは、制度変更が失敗したという話ではありません。むしろ、前日化・30分化によって見える数字が増えたため、どの市場で、どの時間帯に、どのリソースが足りないのかを続けて見る段階に入った、ということです。

資料3では、調整力指令と出力制御指令が重なる場合の取り扱いも議論されています。出力制御指令は、系統混雑や需給制約で発電出力を下げる指令です。調整力として待機しているリソースが、同時に出力制御の対象になることがあります。再エネや蓄電池の参加が増えるほど、この整理は実務上の確認点になります。

公式資料で見るポイント

今回の資料は、表の数字を拾うだけでなく、制度変更の狙いと残った課題を分けて読むと理解しやすくなります。

見る項目今回わかっていること追加で見たいこと
取引タイミング複合市場は週間断面から前日取引へ変更事業者の応札準備がどれだけしやすくなったか
入札時間単位3時間から30分へ変更時間帯別の応札増減がどこで出ているか
複合市場全国合計では応札量が増加エリア別・商品別に不足が残るか
三次調整力②応札量減少と不足頻度上昇が確認された夏季に不足頻度がどう変わるか
価格高単価リソース約定の課題が継続調達未達と単価の関係が落ち着くか
指令の重複出力制御指令と調整力指令の重なりを整理蓄電池・再エネ参加拡大時の運用ルール

まず読むべき資料は、OCCTOの会合ページと資料2です。資料2のまとめでは、応札不足がまだ抜本的に改善していないこと、季節性で取引状況が大きく変わる可能性があること、必要に応じて事業者アンケートや国との連携を行うことが示されています。

資料3は、再エネ・蓄電池・調整力の接点を見る資料です。出力制御指令と調整力指令が重なったとき、どちらを優先し、アセスメント(市場ルール上の達成確認)をどう扱うかが整理されています。

次に見るポイント

次に見たいのは、6月22日に予定されている第120回「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」です。OCCTOの会合ページでは、2027年度向け調整力公募にかかる必要量の考え方、中長期の調整力確保状況、供給信頼度評価の課題整理が議題に挙がっています。

需給調整市場のニュースは、専門的に見えます。しかし、実際には「必要な時に、必要なだけ、電気のずれを直せる余力を集められるか」という話です。ここが足りないと、電力システム全体の運用コストや安定供給に影響します。

夏前に確認したいのは、三次調整力②の不足頻度が一時的に高いだけなのか、夏季需給の中で続くのかです。あわせて、スポット市場の約定、発電所の点検、太陽光の出力変動、蓄電池の参加状況を重ねて見る必要があります。

結論:30分化は入口、夏前に見るのは不足の残り方

需給調整市場の30分化は、複合市場の応札増という効果を見せました。ただし、不足改善はまだ途中です。次は夏季需給の中で、三次調整力②の不足と価格がどう動くかを確認したいところです。


用語ミニ辞典

用語意味
OCCTO電力広域的運営推進機関。全国の電力需給や広域的な系統運用を支える機関。
需給調整市場電気の需要と供給のずれを調整する力を取引する市場。
調整力需要や発電量の変化に合わせて、発電出力などを上げ下げできる力。
複合市場一次から三次①までの調整力をまとめて扱う市場商品。
三次調整力②主に再エネ予測誤差などに対応する調整力の商品。
出力制御系統混雑や需給制約により、発電出力を一時的に下げる指令。
アセスメント市場で約定したリソースが求められた応動を満たしたかを確認する仕組み。

出典:

  • 電力広域的運営推進機関(OCCTO)「第61回需給調整市場検討小委員会」(2026-06-10更新)
  • 電力広域的運営推進機関(OCCTO)資料2「需給調整市場の取引状況等について」(2026-06-09)
  • 電力広域的運営推進機関(OCCTO)資料3「調整力指令と出力制御指令が重複した場合の取り扱いについて」(2026-06-09)
  • 電力広域的運営推進機関(OCCTO)「第120回 調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」(2026-06-12更新)

出典・参考情報

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